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目とメガネに関する豆知識
日本の眼鏡装用者が6000万人以上といわれるのに対し、コンタクトレンズの装用者は、すでに1500万人を越えているといわれています。

眼鏡装用者には、40歳以降の老眼鏡使用者がかなり含まれていることを考えると、近視、遠視、乱視といった屈折異常を矯正する手段として、コンタクトレンズは、特に若い世代では眼鏡と肩を並べる存在になっているといえます。

視力矯正能の問題ばかりでなく、装用感、酸素透過性、取り扱いやすさなど、様々の面から改良が加えられ安全性の高いものになっていますが、眼の表面に直接触れるものであることから、人体への危険度を考慮した薬事法上では「高度管理医療機器」に分類されています。すなわち、正しい装用を行わない と障害が起こる可能性があるものであり、医師による適切な処方と管理が必要な医療機器と定められているのです。コンタクトレンズは、ソフト〔使い捨てを含む〕、ハードのほかに、カラーコンタクト、虹彩つきコンタクト、医療用コンタクトなどに分類されています。

ここでは、コンタクトレンズによる一般的な眼の障害について、いくつかご紹介したいと思います。

1)ドライアイ
原則として、ドライアイの方はコンタクトレンズの装用は適していません。
しかし、重症なドライアイから健康人でも起こりうる「乾き目」程度まで、ドライアイの程度にもいろいろあります。コンタクトレンズ装用者の7割が乾き感を感じるといいますから、どこからが病気としてのドライアイで、どこからが健康な乾き感なのか、実は境界決定は意外と難しいといえます。

従って、ドライアイでも程度によってはコンタクトレンズを装用することができます。但し、パソコン作業などを長時間続けたり、乾燥した部屋にいると乾き感がひどくなり、角膜の表面に傷が生じます。構造上、特にソフトコンタクトレンズのほうが、目の乾きが生じやすくなりますが、人工涙液(点眼液)の補給や、加湿、意識的にまばたきをする、などのセルフケアが必要です。
それでも目に違和感があれば、眼科医に早めに相談してください。


2)結膜炎
結膜炎もコンタクトレンズ装用者に時々みられます。
花粉症、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性結膜炎を有する人のコンタクトレンズの装用は、結膜炎を悪化させやすく、医師の厳密な観察が必要です。
中にはコンタクトレンズによってアレルギーが出るという症例もあります。

コンタクトレンズの装用がどうしても不適切な場合は、眼鏡の装用に戻すか、または屈折矯正手術も選択肢のひとつになります。


3)角膜の濁り
コンタクトレンズ装用者に生ずる目の障害のほとんどは、角膜の表面に細かな傷ができる「点状表層角膜炎」です。
原因は、眼表面の乾燥のほか、不適切な使用のために生ずるものです。
長時間の装用、不注意な装用や脱着、装用したまま寝てしまう、酸素不足、コンタクトレンズの傷や汚れなどが原因となります。
使い捨てレンズでは、使用期限をしっかり守ることが必要です。
軽度の角膜炎でも繰り返すと角膜の濁りが元に戻らなくなったり、次に述べる感染症の原因にもなります。


4)こわい角膜感染
角膜感染症は失明につながる、こわい合併症です。
近年のコンタクトレンズは装用感が非常によくなっていることもあって発見が遅れ、しばしば非常に治り難くなります。
感染症の原因となる病原体は、細菌、カビ、ウイルス、アメーバなど様々のものがありますが、水道水をコンタクトレンズ洗浄に用いるのは水道水にもアカントアメーバがいるので不適切になります。ハードコンタクトレンズのすすぎ程度なら使用できますが、ソフトコンタクトレンズは水分を吸収する 性質を持っていますので、必ず専用のすすぎ液を使用するようにしましょう。

いずれにせよ、コンタクトレンズの装用中でも外したあとでも、少しでも違和感を感じたら自己判断せず、眼科医にご相談ください。
「早期発見」「早期治療」がとても大切です。


監修:医療法人社団 済安堂 井上眼科病院院長 若倉雅登
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