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目とメガネに関する豆知識
「眼科」と一口に言っても、あなたの街の眼科医院、ビル内などにある眼科クリニック、総合病院の眼科、眼科専門病院、大学病院の眼科など、規模や設備が違い、また患者さんのアクセス、比較的得意分野に特化したものなど、それぞれ異なる特徴を持っています。
そのため、厳密な分担はありませんが、おおまかにはその役割は分かれているといえます。いまは、そうした情報がインターネットなどで得られるようになりました。
では患者さん側として、それをどのように知って、適切に、上手に使うことが良いのか、考えてみることにしましょう。



■1.ファミリードクターを探しておこう

眼の問題は、おぎゃあと生まれてから墓場まで、どんな時期にも起こり得ます。乳幼児期には目やに、まつ毛や目の位置の問題、少し成長すると、近視、遠視などの眼鏡も関わる問題や、アトピー性皮膚炎、花粉症などによる角結膜の問題、風邪やウイルスによる結膜炎などが起こります。成人になると、仕事などによる眼の酷使から、眼精疲労などさまざまな眼の不調が出現しやすくなります。そして、40歳を過ぎたあたりから全ての人に老視が出現し、白内障、緑内障などの心配も段々出てきます。さらに、加齢につれて眼球や視覚の不調も出始め、これが病気なのか、単に加齢による眼の耐用年数の問題なのか、判断しなくてはなりません。
内科のファミリードクターを持っている人は少なくないと思いますが、眼のことまではカバーしてくれません。眼は、少しの不調でも日常生活に影響し、心配にもなりますから、自宅や勤務先から行きやすく、些細なことでも相談に乗ってくれる眼科医をみつけておくことは、大変良いことです。

■2.治療の要不要

眼科のファミリードクターの最大の役割は、眼科専門病院や大学病院に紹介すべき変化があるかどうかを判断することです。そして、次に重要な役割は患者さんの心配を軽減することです。
眼鏡の処方が必要だったり、細菌性、ウイルス性、あるいはアレルギー性結膜炎のように、点眼治療が必要なものもあるでしょう。ドライアイへの対応を指導することもあるでしょう。患者さんの持つ自覚症状の正体が、生理的範囲のものである場合は、患者さんへの十分な説明が、患者さんを安堵させるでしょう。このように、患者さんへの説明がしっかりできる医師は、信用してよいと考えられます。
また、すぐに処置や手術が必要だけれども、その診療所でできない場合、それなりの施設のある病院に紹介されるでしょう。しかし、一番問題なのは、患者さんの訴えの正体や病変の程度をすぐには見極められない場合です。そういう場合は、さらなる検査が必要であったり、原因確認のためのセカンドオピニオンが必要となります。治療の要不要とのかかわりが強いためです。ここのところを、きちんとやってくれるファミリードクターはより信頼できる、良い医師だということになります。
十分所見を吟味せず、即断して点眼を開始したり、手術に持ってゆこうとする医師には多少注意が必要です。

■3.セカンドオピニオンの利用

眼科に限ったことではありませんが、医師の説明が具体的でわかりやすく、自分の訴えとよく対応して納得できるかの判断は、患者さん自身がすべきです。納得すれば、医師の説明に従ってよいでしょう。しかし、納得できなければ、セカンドオピニオンを利用すべきです。これは、欧米流の考え方で、「重大な決定をするときには、1人でなく、2人以上の専門家の意見を聞いて最終判断する」というものです。セカンドオピニオンは前節で述べた場合のように、医師自身が自分の判断に確信がないとき、他医に求める場合もありますが、患者さんが十分納得できないとき利用することも、とても良いことです。幸い日本では、健康保険上も一つの診療所にかかったら、他には行けないというような縛りはなく、「フリーアクセス」と言って、いつでもどこの病医院に行ってもよい仕組みになっています。医師をどんどん変えてばかり、というのもあまり感心できませんが、例えば「緑内障」という診断が出たら、それが正しいかどうか緑内障を専門としているような施設を訪れて、確認するというようなことも大事かもしれません。
相談しやすい眼科ファミリードクターと仲良くし、万一、比較的重大な病気の可能性を指摘されたら、セカンドオピニオンを上手に使う。眼の病気には、点眼などで比較的容易に治るもの、緑内障のように一生ケアが必要なもの、また、現代医学では完全には治せないものなどがあります。眼科医を相談役として、眼の健康状態や病気を理解して上手に付き合うことが大切です。

監修:医療法人社団 済安堂 井上眼科病院院長 若倉雅登