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目とメガネに関する豆知識
■1.アレルギーとは

外から侵入してきた物質や病原体に対し、そうした外来性のもの(抗原)に対抗する抗体を作り侵入してきたものを攻撃する機構を「免疫」とよび、これはヒトに備わった大事な防御機構です。アレルギー反応とは、この機構が過剰に働いて、身体にとってかえって不都合な結果をもたらしたものということができます。結膜は眼球の白目の表面を覆っている薄い膜ですが、皮膚と同じく身体の表面に露出しているため、外来性の物質が侵入しやすい部位です。結膜には豊富なリンパ組織という免疫反応が起こる部位があり、アレルギー反応もここで生じます。眼のほかの部位、例えばぶどう膜や網膜にもアレルギー性病変が生ずる可能性がありますが、複雑になるので、ここでは結膜のアレルギーを中心にお話を進めます。

■2.どんな症状か

かゆみ、異物感、流涙、目やに、充血が主な症状です。クインケの浮腫と言って、かゆみなどもなく、一過性に結膜やまぶた、時には唇や口腔内粘膜が腫れるものも一種の即時型アレルギーと考えられていますが、これはたいてい半日以内に消失するのに対し、通常のアレルギー性結膜炎は何日も、何週間も継続します。
アトピー性皮膚炎が存在したり、ハウスダスト(その多くはダニ類)のように一年中存在するものや、多種類の抗原(アレルゲン)に対してアレルギーを起こす人は、通年性のアレルギー性結膜炎になります。中には「春季カタル」とよばれる重症タイプの結膜炎になる場合もあり、この場合は、角膜や眼周囲の皮膚にも病変が及びます。
しかし、眼科で最も多く見られるのは、花粉症など季節性のアレルゲンで発症したものです。

■3.アレルゲンについて

これまでの記載で「アレルゲン」という用語を用いましたが、これはアレルギー反応のもとになる抗原のことです。何がアレルゲンになっているかどうかを確かめるのは、血液検査や、スクラッチテストなどがありますが、それをしなくても生活習慣の中で考えると、大体アレルゲンは何かの見当はつきます。
例えば、花粉症で生じる場合は、春ならスギ、ヒノキの花粉情報が参考になります。朝眼が覚めた時にかゆく、瞼が腫れているといった場合は、布団などに潜むダニ類が抗原のことが多いようです。このほか、カビ、動物のフケや、コンタクトレンズやそれについたゴミが原因になることもあります。

■4.予防と治療はどうするか

花粉症によるアレルギー性結膜炎対策は、花粉情報を入手して、飛散量の多い日の外出を控えたり、外出する場合はなるべくコンタクトレンズを避け、花粉防御用眼鏡の装用などの工夫が大切です。帰宅後人工涙液を数滴点眼することも、洗眼効果があり良いとされます。またマスク着用や、衣類についた花粉を屋内に持ち込まないことなど、一般の花粉症対策も参考にしてください。ハウスダストやカビについては、寝具の乾燥、屋内清掃、空気清浄機の利用などが勧められています。
治療は、主として点眼薬が用いられます。現在10種類近くの抗アレルギー薬があり、症状や重症度により使い分けますが、花粉症では飛散前から予防的に利用するとよいことがあります。副腎ステロイド薬の点眼は、やや重症な例や、抗アレルギー薬で不十分な例に用いられます。また、春季カタルなど難治性のものでは、免疫抑制点眼薬が有効な場合があります。眼瞼皮膚のアレルギー反応に対しては、副腎ステロイド眼軟膏が使われています。
なお、アトピー性結膜炎では、細菌性、ウイルス性などの結膜炎が合併することがあり、より専門的対応が必要になります。

■5.おわりに

眼のかゆみや異物感は、非常に不快で鬱陶しく、日常生活においても意欲がそがれるなど、患者にならないとわからない大きな影響を与えます。しかし、自身で注意することで、また適切な治療を受けることでアレルギー反応は軽減させることができます。完治というのは無理でも、少しでも快適になるために、セルフケアはとても大切です。

監修:医療法人社団 済安堂 井上眼科病院院長 若倉雅登