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目とメガネに関する豆知識
皆さんは、スクリーンに映る映像を、より臨場感のある立体映像で楽しめる「3D映画」をご存知ですか?とくに、2009年は映画業界で「3D映画元年」と呼ばれるほど、3D映画のあたり年となっているそうです。海外だけではなく、日本でも国内初の実写長編作品が公開され、話題となっています。

この「3D映画」に欠かせないのが、映画館などで配られる専用メガネ。
なぜあのメガネをかけると、映像が立体的に見えるのか?
そもそも、3D映画とはどうやってつくられているのか?
今回は、そんな"3Dの不思議"に迫ります。


■ 3D映像のメカニズムと歴史

特殊なメガネをかけることで、スクリーンから映像が飛び出してみえる3D映画。そのメカニズムは、意外にも「人間の眼」にありました。

私達の右目と左目は、横並びに配置しているため、それぞれが微妙に違う角度から、物を見ています。たとえば、指を目の前に出して、片目を交互に閉じてみます。そうすると、右目と左目では、指自体や後ろにある物の見え方が違うのがわかりますね。
このような両目の見え方の違いを「視差」と呼びます。この視差を利用して、平面の映像を立体的に見せているのが、3Dなのです。

この視差を利用した立体映像の実現は、確かに画期的だったのですが...当初確立された、「赤と青の線を加えた映像を、赤と青のフィルムでつくられたメガネで見る」というシステムは、定着せずに衰退していきます。みなさんの中にも、かつて試したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?この形式だと、画質の著しい劣化や、常に色のついた視界であることで目や人体へ負担がかかるというデメリットがあるため、定着することはなかったのです。

この問題を乗り越えたのが、「デジタルプロジェクター」。1台のプロジェクターで、右目用と左目用の映像をバランス良く見せることで、見る側の負担も軽減されました。その中でも代表的な3D方式が、現在主流であるReal D(リアル・ディー)、Dolby 3D(ドルビー・スリーディー)、XpanD 3D(エクスパンド・スリーディー)の3システムです。


■ 3D映像鑑賞に欠かせない3D対応メガネとは?

進化を遂げたReal D(リアル・ディー)、Dolby 3D(ドルビー・スリーディー、XpanD 3D(エクスパンド・スリーディー)。右目と左目で別々の映像を見ることで立体映像を体感できる点は共通ですが、それぞれ異なる技術や特長があるため、使用するメガネも異なります。

◆ Real D: 円偏光方式フィルター

Real Dは、右目左目それぞれ「144コマ/秒」というハイスピードで、シルバースクリーンに映像を再生することにより、画面のチラつきも解消した快適さが特長の映像形式。円状の偏光+偏光フィルムを貼った「円偏光方式フィルター」のメガネで鑑賞します。このメガネは回収しないケースがほとんどなので、映画館などで配られたものは、持ち帰れる可能性も...?

◆ Dolby 3D: 波長分光フィルターメガネ

Dolby 3Dは、右眼左眼それぞれに、波長の長さを変えて光を送り、さらに「波長分光フィルターメガネ」をかけることによって、左右の眼に別々の映像を見せてくれる形式。色の再現度の高さや、通常スクリーンでも上映できる点も、高評価のポイント。メガネは制作の手間やコストから高額で、映画館で上映後は、回収しているそうです。

◆ XPanD 3D: アクティブシャッター方式メガネ

XPanD 3Dはほかのシステムとちがい、アクティブシャッター式のメガネを使って視聴するのが最大の特長。右眼用、左眼用に映像を切り替えて表示するのはほかのメガネと同じですが、さらに液晶シャッターで両目の視界を交互に閉ざすことで、より立体映像を楽しむことができます。

このようにさまざまな特長がある3Dの方式ですが、映画館によって採用しているシステムが違うこともあるのだとか。3D映画を見るときには、劇場の3Dシステム情報まで調べていくと、より楽しめるかもしれませんよ。

人間の「目」のメカニズムをヒントに生み出され、日々進歩していく臨場感溢れる3D映像。映画やDVDを超え、ゆくゆくはすべてのテレビ番組や携帯電話、映像チャットなどにも対応したマルチな3D対応メガネが発明され、映像エンタメの楽しみ方が大きく変わるかもしれません。

これからも3D技術から"目"が離せませんね!
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