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目とメガネに関する豆知識

この豆知識を読んでくださっている皆さんのほとんどが、目や視力について、何らかの悩みや関心を持っていらっしゃると思います。ところで、皆さんは何歳ごろから、どんな目の悩みを感じるようになりましたか?


目や視力は、年齢と共に変化しつづけるものです。幼少期には幼少期の、成人すれば成人期の。そして中年以降には老視と、さまざまに変化していきます。目の病気や、視力に不自由を感じるのは誰にとってもやはりショックなものです。でも、正しい知識をもって日々目の健康を意識し、適切な処置を行えば予防したり治療できるものがほとんどです。


今回の豆知識は、視力と年齢の関係についてお話します。



■1.赤ちゃんの視力はどうなっているの?


昔に比べると、生まれたばかりの赤ちゃんはいろんなものが見えているという説がよく聞かれるようになりました。一般に乳幼児の視力の発達は、


生後
1ヵ月
:目の前の手が動くのがわかる
2ヵ月 :0.01
4ヵ月 :0.04~0.08
8ヵ月 :0.1
1歳 :0.2~0.25
1歳半 :0.4
2歳 :0.5~0.6
3歳 :0.8
7歳 :1.0

といわれていますが、これは1962年のデータで、最近はもっとよく見えているという説が主流のようです。

乳幼児の視力の測定には多くの方法があり、各自治体の乳幼児検診での測定も様々です。たとえば、「蝶々」「鳥」「魚」「チューリップ」等の絵を描いたカードを2.5メートル離れた場所から見せ、4枚のうち3枚見えていたら、視力を0.5あるとみなす自治体や、大人の視力測定でもおなじみのランドルト環(Cの文字のような、一方が切れた輪)を使う自治体。また、機械を用いて測定するところもあります。



ここで注意しなくてはならないのは、お子さんに斜視や弱視など、重大な症状があるかどうかを正しく見極められるかどうかです。斜視・弱視は、発見が遅れるとのちの治療が困難になる場合もあります。幼いお子さんにこんな行動がよく見られたら、早急に医師に相談しなくてはなりません。


●見るとき

「片目をよくつぶって見る」「顔を回し、横目で見る」 「あごを引いたり、上げたりしてみる」


●学習・遊び

「落ち着きが無い」「飽きっぽく根気が無い」「集中出来ない」


●目の様子

「目をよくこする」「目をパチパチさせる」「視線が内や外、上下にずれる事がある」「涙をよく流す」「明るい戸外でまぶしがる」


●生活

「テレビを近くで見たがる」「よくつまづく、転ぶ」 「ひんぱんに頭痛を訴える」


●家族

「両親、兄弟姉妹も視力が悪い」



■2.子供にメガネをかけさせてもいいの?


「小さな子供にメガネをかけさせるのはかわいそう」という声も聞きます。ですが、大事な成長期にあるお子さんが、ぼんやりした視界のままで生活を続けていくと、どういうことになるのでしょうか?


生まれたばかりの赤ちゃんでもすでに明確な視反応があります。しかし、ものは見えていても、その意味は分かりませんから、成人と同じレベルの視力とは言い難いでしょう。ものは目で見えている、と考えている方が多いと思いますが、実は大脳皮質で認識してはじめて物が見えた(理解できた)ことになります。大脳皮質の80%以上の部位が視覚からの情報を認識したり、処理することに関係しています。
ということは、人間にとって、視覚というのは、大脳を発達させる上で非常に大切な情報源になっているとも言えるわけです。


特に、生後から3歳頃までは視力の急速な発達時期に当たります。この大事な時期に、もしぼやけた視覚入力しかなかったら、大脳皮質での認識、処理機構はそのぼんやりした像をもとにして発達することになりますから、当然その質は悪いものになるでしょう。近視・遠視のための視力矯正(メガネの使用)の遅れは、弱視などの原因になるばかりではなく、脳全体の発達にも影響を与える可能性さえあります。


小さなお子さんにメガネは不憫、と思う気持ちはわかりますが、お子さんに少しでもいい視界を与えてあげることが、脳の健全な発達を促すことにつながります。



■3.成人の視力低下・失明理由と生活習慣


一般的に、大人になってからの視力低下は起こりにくいといわれています。「学校近視」という言葉がありますが、これは学校で勉強をする年頃から近視になる人が多いことからついた名前です。


20~25歳ぐらいから近視の度の進みはほぼ止まり、目立った視力低下が起こることはあまりありません。しかし一方で、長時間にわたるデジタルデバイスの使用や、ストレスで目を酷使する機会が多くなることも事実です。他記事でもご紹介したVDT症候群(パソコン作業などが原因の眼精疲労、ドライアイ等)は目の角膜を痛める原因にもなりますし、頭痛・肩こり・うつなどの症状が出ることもあります。


また、ストレスが多く、不摂生な食生活を送る人は糖尿病の危険性もあります。糖尿病の合併症のひとつに『糖尿病性網膜症』という病気がありますが、この病気は成人における失明原因に高い割合で挙がっています。糖尿病になり、血糖が高い状態が十年以上続くと、眼底に血管の瘤(こぶ)ができ、破れて出血します。さらに進行すると白斑や新生血管ができて、大きな眼底出血を起こして失明するのです。


甘いものや油っこい食事が好きだったり、お酒やたばこの量が多い人、ストレスの多い生活をしている人は要注意ですよ。40歳をすぎたら、目と体の定期的な健康診断が大切です。



■4.近視の人は老眼になりにくい。ウソ? ホント?


老視(老眼)とは、年と共に目の調節力が低下する状態をいいます。人は近くを見るとき、水晶体を膨らませることによって、近くの一点にピントを合わせるのですが、年をとると水晶体の弾力性が低下し、充分に膨らませることができなくなります。このため、近くのものが見えにくくなるのです。


目の調節力は、30代後半から衰え始めますが、自覚してくるのは45歳くらいからのようです。老視の症状としては、「近くが見えづらい」「読む距離を少し遠くすると見える」「すぐ疲れて長時間読書ができない」「メガネをかけていると疲れる」などがあげられます。


「近視の人は老眼にならない」という説を聞いたことがある人がいるかもしれません。しかし残念ながら、老視は全ての人に同じように訪れる老化現象です。したがって、近視だから老視にならないということはないのです。近視の人が老眼にならない、といわれる理由は、もともと近視だった人が老視になると、近視用のメガネを外した状態で手元がきちんと見えることがあるからです。しかし、この場合も近視用のメガネをかけた状態では手元にピントが合わず見えにくいわけですから、これも立派な老視なのです。



■5.老視と上手につきあうために


年齢とともに目の調節力は衰えてくるので、老眼鏡をかけていても老視は進行します。メガネの度数で言うと、およそ10年間に4段階くらい進んでいくと考えてください。現在お使いの老眼鏡が見えづらく感じたら、作り替えて適正な度数の老眼鏡をお使いいただくのがよいでしょう。


老視は誰にとっても避けられない現象ですが、その進行を遅らせることは可能です。睡眠や食事を規則正しくとり、適度な運動を心がけましょう。また、食事面でも老視の進行を遅らせることができます。老視にいい食べ物としては、


[ビタミンA] レバー、あんこう、マーガリン

[カロテン] にんじん、ほうれんそう、しそ、モロヘイヤ

[たんぱく質] 肉類、魚介類、大豆製品、牛乳および乳製品

[ビタミンB] レバー、うなぎ、牛乳、納豆


を積極的にとることをおすすめします。


老視や糖尿病は誰にでも起こる可能性があるものです。「自分はまだそんな年じゃないから」といって無理をしていると、それだけ目に負担をかけることになります。どの年代にある方も、いつまでも輝きのある目でいられるよう目の健康に心がけ、自分の目に合ったいいレンズを選び、自分の目のライフサイクルと上手につきあっていきたいものですね。