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●屈折率 屈折率は、レンズを薄型化するための最も重要な要素になります。光の屈折とは、媒質の異なる境界面 で、光がその進行方向を変えることをいいます。屈折率とは、その素材が光をどれだけ屈折させる能力があるかということを示すための、その素材固有の値です。従って、屈折率の大きな素材を用いるほど、同度数のレンズでは薄く仕上げることができます。空気中の屈折率を1.00としたとき、現在のプラスチックレンズでは、屈折率1.49~1.74までが開発されています。 |
●比重 比重とは、「物質の質量 」と「その物質と同体積の標準物質の質量」との比をいいます。標準物質としては一般 に、4度Cの水が用いられます。この値が小さいほど軽いレンズということなのですが、比重の小さいレンズは一般的に屈折率が低い傾向にあり、レンズが厚く(体積が大きく)なるため、重いレンズになってしまう場合もあります。 |
●アッベ数 太陽の光(白色光)は、様々な色の光の混合であることはよく知られていますが、このような光がレンズ内のプリズム作用のある場所を通 過すると、図のように光がスペクトル(波長順に赤から青まで)に分かれます。これを光の分散といい、レンズに色収差という問題を引き起こします。アッベ数とは、この光の分散の程度を示す値であり、アッベ数が小さいほど色収差が大きく、アッベ数が大きいほど色収差は低減されます。色収差が発生すると、図のABCように注視物に色がついてにじんで見えます。色収差量 Pcは、レンズ上のプリズムをP(Δ)、レンズ素材のアッベ数をνとすると、Pc=P/νで与えられ、個人差もありますが、 一般にPcが0.2を超えると、視力低下を起こすといわれています。 |
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●非球面設計数 非球面設計のレンズは、薄型化・軽量化を実現するとともに、レンズの光学性能を劣化させる要因である、レンズ周辺部の度数ズレと非点収差をバランスよく補正しています。これにより、レンズ周辺部までシャープでクリアな視界が得られます。また外観面では、薄く軽くファッショナブルなレンズに仕上げることができます。 ※ベースカーブ・・・レンズの凸面側の、出っ張り具合を表します。従って、「低ベースカーブ」というとレンズの凸面側が平らになっていくことを指し、「高ベースカーブ」というと凸面側の出っ張りが大きくなることを指します。 |
通常の球面設計レンズ | 球面設計の 低ベースカーブレンズ | 非球面設計の 低ベースカーブレンズ | | | | ベースカーブと呼ばれるレンズ外面側のカーブを所定の値で製作することにより、非点収差の少ないレンズにはなりますが、周辺部を見たときの度数ズレや、レンズが厚く重くなるなど不利な点があります。 | レンズの薄型化・軽量化を図るには、ベースカーブを平らにしていくことにより可能となりますが、レンズ外周部の度数ズレや非点収差が大きくなるなど、光学性能面では問題が多くなります。 | 低ベースカーブの採用により、薄型化・軽量化を達成し、また非球面設計により、非点収差の低減と度数ズレの補正をバランスよく制御しています。 | |
●両面非球面設計 セイコーが世界で初めて開発した「両面非球面設計」は、抜群の光学性能と、世界最高レベルの薄さ・軽さを実現させる、画期的な設計手法です。 「低ベースカーブ+両面非球面設計」により、薄型化・軽量化を実現するとともに、レンズの光学性能を劣化させる要因である、レンズ周辺部の度数ズレと非点収差をバランスよく補正しています。これにより、レンズ周辺部までシャープでクリアな視界をお約束いたします。 非球面レンズの先駆者であるセイコーだからこそできる、「高品質」で「眼にやさしい」眼鏡レンズを是非お試し下さい。 |
通常の球面設計レンズ | 非球面設計レンズ | 両面非球面設計レンズ | ベースカーブと呼ばれるレンズ外面側のカーブを所定の値で製作することにより、非点収差の少ないレンズにはなりますが、周辺部を見たときの度数ズレにより鮮明に見える範囲は限られてしまいます。また、レンズが厚く重くなるなど不利な点があります。 | 非球面設計はレンズの外面側に回転軸対称な非球面を形成することにより、レンズの薄型化・軽量化を図り、かつ非点収差の低減と度数ズレの補正をバランスよく制御しています。従って球面設計のレンズより鮮明に見える範囲が広がります。 | 両面非球面設計は、レンズの外面側と内面側のそれぞれを独立した非球面で設計しているため、非球面設計よりもさらに薄く軽いレンズが可能となりました。また、乱視処方に対しては、S度数、C度数それぞれに最適な非球面量を制御できるため、鮮明に見える範囲はグッと広がります。 | | | | | | | S度数方向、C度数方向ともに、歪曲収差が発生します。またレンズの周辺部はS度数、C度数ともズレが大きく、像の鮮明に見える範囲は限られてしまいます。 | S度数方向の歪曲収差は改善されますが、C方向は歪曲収差が残ります。またレンズ周辺部では、S度数方向は鮮明に見える範囲が広がりますが、C度数方向は完全には改善されません。 | S度数方向、C度数方向とも歪曲収差が改善され、像のゆがみが少なくなります。またレンズ周辺部では、S度数、C度数ともそれぞれに最適な非球面が施されるため、鮮明に見える範囲が広がります。 | |
●累進屈折力レンズ 老視の視力補正のためには、基本的に遠くを見るための遠方視用メガネと、近くを見るための近方視用メガネが必要になりますが、このメガネの掛け替えは非常にわずらわしいものです。この欠点を解消するために、一つのメガネで遠くも近くも見ることのできる多焦点レンズが誕生しました。最も簡単な多焦点レンズは、遠用レンズと近用レンズを中央で張り合わせて一枚にした、EXタイプと呼ばれる二重焦点レンズ(バイフォーカル)レンズです。また、遠用と近用の中間距離を見るためのレンズを付加した、三重焦点レンズ(トライフォーカルレンズ)というのもあります。このように中間部をさらに細分化していくと、遠用のレンズの度数から近用のレンズの度数まで、連続的に変化するレンズができ上がります。これが累進屈折力レンズの基本概念です。 |
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累進屈折力レンズの最大の特徴は、バイフォーカルレンズのような境目が無いため、見た目によくファッション性に優れることです。また、中間部領域は無段階でレンズの度数が変化していますので、このレンズ一つで遠くから近くまで、どの距離にでも焦点を合わせることができる優れたレンズです。反面 、欠点もあります。一枚のレンズの中で異なる複数の度数を有しているため、度数の変化している領域を通 して物を見ると歪んで見えたり、顔を左右に振ったときにゆれを感じたりします。また、累進屈折力レンズの側方部には非点収差領域と呼ばれるエリアがあり、ここを通 して見ると物が二重にボケて見えたりします。これらの欠点をどのように減少させているかが、累進屈折力レンズの性能基準になります。 |
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●累進帯長 累進屈折力レンズはその一枚のレンズの中に、遠くを見るための「遠用部領域」と近くを見るための「近用部領域」があり、それらの間でレンズの度数が累進的に変化する「累進部領域」があります。累進帯長とは、この「遠用部領域」の最下端から「近用部領域」の最上端までの長さを表します。従って累進屈折力レンズは一般的に、遠くを見るときはやや上目使いで、近くを見るときは下目使いで使用することになります。累進帯長が短いと、近くを見るときに眼を下方に回旋させる量が少なくてすむため近方視野は広くなりますが、累進帯長が短いほどレンズ側方部に非点収差と呼ばれる歪みが大きくなり、使用感は悪くなっていきます。使用者の用途やメガネへの慣れにもよりますが、常用することを目的とした場合、累進帯長は14~16mm位 が一般的でしょう。 |
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●ハイインパクト加工 メガネレンズの安全性に関しては、これまでアメリカ食品医薬品局(略称FDA=Food and Drug Administration)の規格が、一般的に知られています。セイコーの先進技術を結集して開発した[ハイインパクト加工]は、FDA規格を上回る耐衝撃性を実現し、メガネレンズの安全性を大幅に向上させています。 |
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●コーティング プラスチックレンズはその基材だけでは傷付きやすいため、レンズの表面に様々なコーティングが施されていることが一般的です。 1) ハードコート・・・キズからレンズを守ります。 2) マルチコート・・・光の反射を防ぎ、明るくクリアに見えます。 3) CFコート・・・水やけや汚れを防ぎます。 |
●UVカット加工 太陽光の下では、肌を黒くしシミやタルミを作るといわれる UV-A波や、シミ・ソバカスを作り肌を老化させるといわれる UV-B波などの 紫外線があります。これら有害な 紫外線をカットする機能を備えたレンズを「UVカットレンズ」といいます。 |
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