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目とメガネに関する豆知識

皆さんが眼鏡を購入しようとして眼鏡店を訪れると、先ず視力の検査が必要となります。
眼鏡店によって検査方法や進め方は少しづつ異なるかも知れませんが、検査内容としては以下の項目が一般的となります。


■1.裸眼による視力検査及び従来から使用している眼鏡を掛けたときの視力検査



■2.瞳孔間距離の測定


瞳孔間距離とは、まっすぐに前方を見たときの、片方の瞳孔の中心からもう一方の瞳孔の中心までの距離を指します。眼鏡を作るときは、原則としてこの瞳孔間距離と眼鏡レンズの光学中心間距離を合わせることになります。これが合っていないと、眼鏡を掛けたときに眼の疲れを覚えたり、違和感を感じやすくなります。



■3.裸眼または従来の眼鏡を掛けたときの眼位検査など


眼位とは、片眼または両眼の向きのことです。両眼の視線が目標に向かわず、いずれか1眼の視線が目標とは別のある方向へ向かっている状態を「眼位ずれ」といいます。



■4.自動検眼器またはレチノスコープ等による
屈折異常値の測定(他覚検査)


オートレフ(Auto Refractometer)と呼ばれる自動検眼器や「レチノスコープ」と呼ばれる機械を使用して、眼の屈折異常を測定します。
つまり、近視系の方なのか遠視系の方なのか。また、乱視のあるなしを判別します。



■5.上記のデータを参考にした自覚的屈折異常値の測定(自覚検査)


上記の自動検眼器等の他覚検査で、ある程度屈折異常の状態がわかりましたら、それを参考に、自覚検査(正確に言いますと、自覚的屈折検査)を行います。自覚検査は、検査をする技術者とお客様の対話によって進行し、視標を使って見え方を比較したり確認しながら、補正度数を求めていきます。自覚検査を行う理由は、お客様は機械ではなく、眼前に装用したレンズでもって適切な補正度数を決定しないと、お客様にとって本当に快適な視力を得られない可能性があるためです。しかしながら、自覚検査は被検者の応答レベルや協力度に依存するやり方であるため、検査を行う眼鏡技術者の知識や技術力が重要となります。



■6.上記の自覚検査の測定値をベースにした眼位検査、輻輳、開散の検査


遠方を見ていた状態から、より近くの目標物を見ようとして、両眼が内を向き、視線が前方で交叉する状態を輻輳(ふくそう)といいます。逆に、眼の前のものを見ていた状態から、より遠方の目標物を見ようとして両眼の視線が乖離(かいり)することを開散といいます。
もともと眼球を動かす6つの筋肉のバランスが悪かったり、年齢とともに筋肉の力が弱まったり、柔軟性がなくなってくると、この「輻輳・開散」がうまく行われず、「眼位ずれ」が生じたりします。



■7.調節と輻輳の関係、調節力の測定


眼球の中には水晶体というレンズがあり、目標物の距離にあわせ、その厚さを調整しながら焦点を合わせます。このピント合わせ機能を「調節」といいます。「調節力」は、生まれた時点から徐々に衰え、特に45歳を過ぎると近くのものに焦点を合わせることが難しくなってきます。(これが、いわゆる老眼です)また、年齢にかかわらず、何らかの理由で調節力の弱い方もいます。
上記で検査した、輻輳力、開散力の結果と合わせながら、調節力を測定します。

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■8.近方作業のための加入度数の決定(老視補正度数の決定)


老眼の方は手元が見づらくなるため、快適に作業を続けるには、その作業距離にあった最適な眼鏡が必要です。ライフスタイルや身長など、人によって近用作業距離は異なるので、その距離に合った適切な加入度数(老視補正度数)を決めることが重要になります。



■9.上記加入度数を装用した上での眼位検査、輻輳、開散の検査


上記の検査で決定した加入度数を入れたレンズを装用し、眼位ずれの有無や、眼の動きを再度チェックします。



■10.その他趣味、職業などにより必要とされる視機能の検査


ただ、検査を受けられるお客さまにとっては、果たしてどんな検査が行われたのか理解できない場合が少なくなく、精密な機械で早く、簡単に検査が済んだ方が良いと思われるかも知れません。実際、検査を受ける際に「どちらのレンズが良いですか?」と尋ねられても、視表の見え方にあまり差がなく、返答に迷われることもあるものと考えられます。
従って、検査する技術者が、行おうとする検査の方法や目的について十分説明をし、なるべく答えやすい方法を選択することが大切であり、その点が裏を返せば、技術者がしっかりとした知識を持ち、かつ熟練した人であるか否かを判断するポイントともいえましょう。上記の10項目には、単に視力のみならず、お客様が片方ずつの眼だけではなく、両方の眼で快適に見るための視機能の検査を含んでいますので、正確な眼鏡を作るには必要最低限の検査項目と考えられます。
機械だけの測定値をもとに、単に「よく見える」眼鏡を作ってしまう技術者は、本当の意味での眼鏡技術者とは言えず「販売員」に過ぎないとも考えられます。
特に、片眼で見るときよりも、両眼で見るときの方が見え具合が悪いとか、両眼でものをみると疲れる、階段やエスカレーターに乗るのが怖いというようなことを経験された方、あるいは左右の度数が大きく違う、物が二つに見えることがある方などは、両眼視機能の十分な検査が必要と思われますので、しっかりした技術者のいる店、たとえば「認定眼鏡士」のいる店を選ぶこともお店選びのポイントとなります。ご自分の視力と眼鏡に関する悩みを十分ご相談なさることが大切です。
とにかく、快適な眼鏡作りの第一歩は視力検査から始まるのですから。

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監修:日本眼鏡技術者協会会長 津田節哉
日本眼鏡技術者協会 ウェブサイト