快適視生活応援団目とメガネに関する豆知識レンズ・フレームについて レンズについて > セイコーレンズ物語(1) ~セイコーレンズの製造現場を訪ねて~

目とメガネに関する豆知識
高品質レンズができるまで

はレンズです。いま私は、メガネフレームの中におさまって、ある眼鏡店の棚の中で、お客さまがメガネをとりにいらっしゃるの待っているところです。ところで皆さん、私がどのようにして生まれるのかご存じでしょうか。 私は、薄くて軽く、きれいに色をつけてもらった、メガネのレンズです。このような私を大切に大切に生んで育ててくれたのは、セイコーの先進の光学技術と万全の製品管理システムです。そう、私はセイコーオプトテクノロジーの申し子、品質では誰にも負けない自信をもっています。
それでは、お客さまがいらっしゃるまでの間、私の生い立ちをお話いたしましょう。きっと何かのお役にたつと思います。

野県伊那松島にある 製造工場で私は生まれました。しかも、お客さまひとりひとりの名前のついた、いわば一品生産品となるべく、運命づけられて生まれるのです。たくさんの仲間達が同じようにつくられています。

の最初の姿は、トロリとした液体(モノマー)です。ご存じのように、セイコーのプラスチックレンズは、 屈折率 1.50から1.74まで何種類もありますが、モノマーの成分はそれぞれのレンズによって違います。
さて、モノマー状態の私は、フタをふたつに合わせたようなガラス製円形の母型に注ぎこまれます。レンズになる前の準備です。このガラス製の母型があるので、まだ液体の私たちもお行儀よくレンズのかたちに、ととのえられていくのです。母型に注入された私は、大きな装置に収納され、他の多くの仲間といっしょに熱で温められます。
どのようなレンズになるモノマーか、その種類によって加熱時間はいろいろですが、「セイコースーパーソブリンUV」になる私は、20時間程ですっかり硬くなります。まだ分厚いですが、レンズの原型のようなものになるのです。また、熱ではなく、紫外線を照射してモノマーを固める、さらに先進的な方法もセイコーは開発しています。これだと、仲間の「 P-1ウィング1.56 」、「セイコークレアキャスター」達は、わずか20分程で硬化してしまうんです。凄いですね。

熱重合炉

光重合装置
化した私は、ガラス製母型から取出され、ゴミやキズがついていないかと、すぐに検査を受けます。
このあともいろいろな工程で、厳しい検査がありますが、そのすべてに合格しないと、私はセイコーレンズとして世に出ることができないのです。セイコーレンズの評価が高いのは、進んだ技術の集積とともに、どんな小さなことも見逃さない何重ものチェックシステムがあるからでしょう。それを私は、身をもって経験しました。

初の検査が終わり、「セミフィニッシュレンズ」となった私は、次に研磨の工程にはいります。メガネレンズは、一品製作のオーダーメードとさっきお話しましたが、それはいよいよこれから始まります。
実は私には、ご注文にもとずいた一枚の加工指示票が、この時から最後までずーっとついてくることになります。これは、お客さまの条件やご要望をおききして眼鏡店が作成したデータを書式化したもので、いわば私の「身上調書」です。
私を研磨してくれる人は、私のデータに合わせ、細心の注意を払って、お客さまのご注文どおりの精緻なレンズに私をつくりあげていくのです。私はずいぶんスリムになりました。美しくなったような気がします。

示どおり研磨されているか、検査が再びあって、これにパスして私はやっとレンズ生地として完成品になりました。しかし、世に出るにはまだ先があります。お客さまのご注文は、カラーレンズだったからです。染色のために、私は染料が入った槽に身を浸します。そう大きいものではありませんが、それを幾槽も同時に稼動させてレンズを染色し、グラデーションまで自動的につけてしまうマシーンは、セイコーが自社開発した先端的なもの。染色しなが同時に光を当てて、指示どおりかどうかも確認できるのです。私は、ただゆったりと身をまかせているだけです。ほんのりと色がついて、きれいなメイクをしてもらっている気分です。

染色機

自動染色機
のあとキズや反射を防止する コーティング 処理をしてもらって、これもすぐに検査。出荷前には改めて度数、透過率、外観、 UVカット をチェック・・・。ここまで万全を期して、ようやくセイコーの品質保証マークが私に押されます。こうしてついに私は信頼されるセイコーレンズとして世に生まれます。

ンズ1枚といいますが、この1枚の私のために、セイコーの多くの人たちの真摯な作業と研究心、そして製造現場のバックヤードにある信頼性の高いシステムが、24時間体制でがんばってくれているのです。私はそれらすべての結晶です。そして、誇りのもてるセイコーレンズとして、お客さまの待つ眼鏡店へと旅立つのです。
それは眼鏡店からご注文をいただいてから、わずか2日後のことでした。私をとおして、お客さまはきっとセイコーの進んだ技術の力を見てくださることでしょう。嬉しいことです。

真空蒸着装置
、私をかけてくださるお客さまがいらっしゃいました。きょう初めてお会いするかたですが、これからはもう、私はお客さまの一部です。いっしょにベストビジョンを楽しもうと思います。
--- 後編「高度な光学技術を支えるもの」へつづく ---