「度数の合わないメガネをかけると、頭痛がしたり気分が悪くなる」という経験は、誰でも一度は持っているのではないでしょうか。
メガネの有無に限らず、目と頭痛はもともと深い関係があります。そこで、ふだんメガネや目と縁の深い皆さんにぜひ知っておいていただきたいのが、
【目と頭痛】
の関係についてです。今回の豆知識はこの「目と頭痛」についてとりあげてみます。
■1.なぜ目が疲れると頭痛がするの?
デジタルデバイスでのゲームやパソコンに夢中になっているうちに、いつのまにか頭が重くなったり、ズキズキしてきたりする......こんな経験をお持ちの方は多いと思います。
実は、頭痛の診察をするドクターの間でも、「頭痛持ちはまず、メガネの度数が合っているかを疑え」といわれるぐらい、目やメガネと頭痛の関係は深いものです。 その理由は、人の「視神経」にあります。人の視神経には、神経線維が100万本から1000万本、集束していると言われています。また、脳に送られる情報の90%以上が視覚情報で、脳の50%がこの視覚情報の処理に働いていると言われます。つまり、目から入ってくる視覚情報が増えたり、その処理がうまくいかなかったりすると、脳にかかる負担が大きくなるわけです。
■2.頭痛にもいろいろ
頭痛にもさまざまな種類があります。アイスクリームを食べたらこめかみがキーンと痛くなったり、二日酔いで頭が痛くなったり。
差し迫った危険があるといわれている「命に関わる頭痛」というのもあります。くも膜下出血や神経のマヒを疑わなくてはいけない頭痛で、これは身体のマヒを伴なったり、普段の頭痛とは全くちがう突然の激痛に襲われたりします。
それ以外には、いわゆる「頭痛もちの頭痛」といわれるものがありますが、これが今回の本題です。この「頭痛もちの頭痛」は、大きく分けて3種類あるといわれています。
▼緊張型頭痛
おそらくもっとも「目の疲れ」と関係ある頭痛だと思われます。痛みの特徴としては、後頭部から首筋にかけての部分が、なんとなく痛み始めることが多く、こめかみの部分や頭全体のこともあります。
緊張型頭痛の主な原因は、目の疲れやストレスといわれています。なぜ緊張型頭痛が起こるのかというと、精神的・肉体的なストレスによって頭蓋をとりまく筋肉が持続的に収縮することによって起こります。つまり、孫悟空の金輪のように筋肉が頭をしめつけている状態になっているのです。
さらに、頭の筋肉が緊張しすぎると、筋肉の血の流れが悪くなり、老廃物がたまります。老廃物がたまるとコリの状態となり、痛みがおこるようになります。これが緊張型頭痛といわれるものです。
頭が痛いと、ますます筋肉の血流が悪化していきます。さらに頭痛があることで、ストレスがさらに悪化することになります。こうして、いつまでもストレス⇒頭痛⇒ストレス⇒頭痛という「悪循環」が続いていくことになるのです。
この緊張型頭痛は、パソコン作業を長時間続けている人にも多くみられます。また、姿勢の悪さもこの頭痛の原因であると言われています。よくない姿勢のまま長時間パソコンに向かう事が多い方、仕事や人間関係のストレスが多い方は、要注意ですね。
軽く運動をしたり、マッサージや入浴をすると頭痛が和らぐのはこの「緊張型頭痛」です。
▼片頭痛
女性に多い頭痛と言われています。目の前がキラキラしたかと思うと、ずきずきと脈打つような頭痛が始まるというのが、片頭痛です。こめかみの片側から目の奥にかけてずきずきと痛み、次第に頭全体がひどい痛みに襲われます。吐き気を伴うのも片頭痛の特徴です。
この片頭痛は、身体を動かしたり入浴するとますますひどくなったり、吐き気に襲われたりします。それが緊張型頭痛との大きなちがいです。
目の奥が痛むという症状はありますが、この片頭痛においては目の疲れとはあまり関係がないようです。遺伝的な要因も大きいといわれています。
▼群発頭痛
いったん起こると1~2ヵ月間の間、連日のように群発するのが「群発頭痛」です。ちょうど「群発地震」のような起こり方をするので、このような名前がつけられたそうです。
片頭痛とは逆で、群発頭痛は男性の患者さんが多いそうです。その痛みとは「まるで片方の眼、眼の上、こめかみのあたりをえぐられるような」激しい頭痛がします。片頭痛が始まると痛みでじっと動けなくなるのに比べ、この群発頭痛はじっとしていられない痛さで、頭をかかえて転げまわるほどの強さだといわれています。
また、この群発頭痛が始まると、目が充血したり、わけもなく涙が止まらなくなったり、まぶたが下がってきたり腫れたりすることもあります。
一口に頭痛といっても、これだけの種類が見られるのですね。しかもどの頭痛も、目の痛みや疲れを伴っています。目を大事にすることが、頭痛を防いだり、和らげる鍵になるといえそうです。
■3.VDT症候群と緊張型頭痛
VDT症候群とは、【visual display terminal】の略で、日本語に訳すと【視覚表示端末症候群】といいます。
長時間同じ姿勢でディスプレイを眺め続けて作業をすると、筋肉に血液が流れにくくなり、止まった状態での筋肉疲労として様々な症状が現れます。
目の疲れから始まり、首や肩のコリ、ドライアイ、手指のしびれや、ひいては抑うつ感、めまい、吐き気、睡眠障害などさまざまな症状が出ることを、VDT症候群と総称するようです。
ここで「あれ?」と気づいた人がいるかもしれませんが、そう。VDT症候群の原因は、上で紹介した「緊張型頭痛」とよく似ていませんか?
緊張型頭痛もVDT症候群も、目を酷使することによって筋肉にコリがたまり、それが原因で頭痛の他さまざまな症状が起こる病気です。
とかく目を酷使することが多くなりがちな現代人の生活ですが、できるだけ目をいたわることによって、日々の健康を保ちたいものです。
ではここで、VDT症候群の代表的な症状をご紹介します。
【VDT症候群の症状】
◎目の諸症状。目の疲れ、充血、かすみ目、視力低下、ドライアイ
◎首・肩のコリ、背中のだるさ、腰痛、手指の痺れ
◎胃痛、胃腸不良、便秘、生理不順
◎倦怠感、抑うつ感、イライラ、めまい、吐き気
◎その他 食欲不振、過食、睡眠障害など
こういった症状は、パソコンを代表とするデジタルデバイスの長時間使用のほか、慣れない機械器具の操作に熱中するあまり心身疲労を起こしたり、机まわりや照明、姿勢がよくないために体に変調をきたすといった、作業環境の悪さから発生するケースもあります。
みなさんも、いくつかあてはまるという方が多いのではないでしょうか。
そこで、VDT症候群を予防するためのガイドラインをご紹介します。
【新VDT作業ガイドライン】(厚生労働省)
◎一日の作業時間:
他の作業を組み込んだりするなどして、一日の連続VDT作業を短くする。
◎連続作業時間:
1時間を越えないようにする。
◎作業休止時間:
1時間のVDT連続作業の後は、10分から15分間、目を休める。
一見当たり前のことのようにみえますが、実際パソコンでの作業に没頭していると、ついつい忘れがちになってしまいますよね。
目の疲れからくる頭痛は本当につらいもの。まめに目をいたわったり体に負担の少ない環境を整えることで、ストレスや疲労を緩和し、日々のつらい頭痛を予防しましょう。
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